[メイン3] 環うい : ────きらり、日の差し込む森の中。
[メイン3] 環うい : 古ぼけたその本を開き、ゆっくりと内容を読み込んでいく。
[メイン3] 環うい : 私が頑張れば…大丈夫…!うん、きっと…!
[メイン3] 環うい : …そうすれば、きっと…この試験だって…!
[メイン3] 環うい : そんな浮ついた気持ちが出ているのか。
[メイン3] 環うい : ふんふん、なんて口笛が漏れる。
[メイン3] 環うい : 勿論それは、”他人”に場所を示すことにほかならず────
[メイン3] : そう。
[メイン3] : その口笛に誘われるように。
[メイン3] : 猛る戦士が、猛獣が。
[メイン3] : ガサ……ガサガサ……。
[メイン3] : 草木が揺らめく音。
[メイン3] 環うい : 「え、っ…!?」
[メイン3] 環うい : その音に、びくりと体が跳ね。
[メイン3] 環うい : 「誰……!?人……それとも…獣…!?」
[メイン3] 白虎 : そこから現れるは
[メイン3] 白虎 : 飛行船で出会った、あの猪突猛進な少女。
[メイン3]
環うい :
がさり、人の出すよりも”猛々しい”音を聞き。
獣ではないかと思ってしまったが。
[メイン3] 環うい : 「────あ」
[メイン3] 白虎 : 尤も、その表情には、空で見た明るい要素はどこにも見当たらず。
[メイン3] 白虎 : 「ぐるるるるるッッ……!!!」
[メイン3] 環うい : 「白虎、ちゃん……?」
[メイン3] 白虎 : 額に、頬に、肩に、腰に
[メイン3] 白虎 : ─────両手に、びっしりと血液が付着してあった。
[メイン3] 環うい : …あれ…?でも、なんか…様子が、ヘン……
[メイン3] 環うい : 「っ、えっ……?」
[メイン3] 白虎 : 獣のような瞳で、ういを真っ直ぐと睨む。
[メイン3] 環うい : 血…これって、でも…まさか……
[メイン3] 環うい : ごくり、と唾を飲み。
[メイン3] 白虎 : そしてその少女に手には
[メイン3] 白虎 : "2枚"の、プレートが。
[メイン3] 白虎 : 「あとッ……もう……一枚ッッ……!!!!」
[メイン3] 環うい : 「白虎ちゃん……?私だよ、覚えてない?船であった、環うい…!」
[メイン3] 白虎 : 「──────────寄こせェエエエエエエッッッ!!!!!」
[メイン3] 環うい : そう、”獣”に言葉を話しかける。
[メイン3] 白虎 : ういの問いに聞く耳を持たぬ
[メイン3] 白虎 : 獣。
[メイン3] 白虎 : ういが瞬きをした瞬間。
[メイン3] 白虎 : その獣は、獲物を狩らんとするように
[メイン3] 環うい : 「────ッ!」
[メイン3] 白虎 : べっとりと血がこびり付いたトンファーを持ち換え
[メイン3] 白虎 : ういの眼前まで急接近。
[メイン3] 白虎 : ブゥウウウンッッ!!!
[メイン3] 環うい : その一瞬の隙、それになすすべもなく。
[メイン3] 白虎 : 猛獣の一撃が、ういのボディで打ち込まれんとする。
[メイン3] 環うい : ”また”、何も出来ない……
[メイン3] 環うい : 「……く、ぅ…!」
[メイン3] 環うい : そんなのは……嫌だ……!!
[メイン3] 環うい : その一撃を、腕で────受け止める。
[メイン3] 環うい : 勿論、受け止めるなど優しい言葉でもなく。
[メイン3] 環うい : ぼきり。
[メイン3]
白虎 :
「がァァアアアアアッッッ!!!!!」
そのまま振り払い、ういの体を岩盤へ弾き飛ばす。
[メイン3] 環うい : 「ッ、ぅうううう゛ッ…あああッ!!!」
[メイン3] 環うい : 本来腕が出すはず事のない音を鳴らしながら。
[メイン3] 環うい : 「が、ッ、はっ」
[メイン3] 白虎 : 白虎の身体の周りの空間が、陽炎のように揺らめく。
[メイン3] 白虎 : 強化系の、念の形の一つでもあり
[メイン3] 白虎 : 白虎の、純粋な闘志の現われでもあり。
[メイン3] 環うい : 岩盤へと、体全体を叩きつけられる。
[メイン3] 環うい : ういは自らを強化する”念能力者”ではない。
[メイン3] 白虎 : 「よォォオオこォォオオオせェエエエエエエエエエエエッッッ!!!!!!」
[メイン3] 環うい : そのため、素の身で『獣の牙』を食らってしまったことになる。
[メイン3]
白虎 :
さらに、地を蹴り出す。
馬鹿力により、土が、石が、抉れ飛び散る。
そうして白虎の小さな体が、豪速へういの元へ飛び。
[メイン3]
環うい :
う、ぅうう……痛い、いたい、いたいい…っ…!
でも……ここで、食われるなんて…やだ…!
[メイン3]
白虎 :
「うりゃァァアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!」
もう一撃、猛獣の、全てを破壊し尽くす勢いの一撃が、ういの腹部へ。
[メイン3] 白虎 : 白虎は、初戦の敗北により、自尊心を酷く傷つけられた。
[メイン3] 白虎 : これまで全戦全勝の、無敵の傭兵一族の末裔ということもあり。
[メイン3] 白虎 : ハンターライセンスを貰うことは、"当たり前"だと思っていた。
[メイン3] 白虎 : だが、負けた。
[メイン3] 白虎 : 焦りを覚えた。戦いこそが白虎という人物を構成する物質であるため
[メイン3] 白虎 : 己の生きる価値を失いかけた虎は、怒り狂った。
[メイン3] 環うい : 「やめてっ…!白虎ちゃんっ……!!『殺し合い』じゃなくって、他に方法もっ……!!」
[メイン3] 白虎 : 「ッッッッ………!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「五月蠅いッッッッ!!!!!!」
[メイン3] 環うい : 何度傷つけられても、その意志は曲がれずに。
[メイン3] 白虎 : 「戦いだッッ!!!……『闘争』だッッッ!!!!!」
[メイン3] 環うい : ただ、しかし……身だけは、着実に。
[メイン3] 環うい : 赤、赤、赤。
[メイン3] 白虎 : 「この場に必要なのはッッ!!!!他の誰よりも強いッ!!!『力』ッッッ!!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「弱い奴はッッッ!!!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「みんなッッッッッ!!!!!!!」
[メイン3] 環うい : 夥しい程の、『捕食跡』が。
[メイン3] 白虎 : 「朽ちていくッッ!!!哀れにッ……!!!無様にッッッ!!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「生きる『価値』をッッ!!!失うッッッ!!!!!!!!」
[メイン3] 白虎 : 虎は吠える。
[メイン3] 白虎 : 先程の一撃により、ういの背後の岩盤が砕かれ。
[メイン3]
白虎 :
ういの投げ出された体を捕捉するように、押し潰す。
ういの両腕を、白虎の膝で抑え、動けないように。
[メイン3]
環うい :
……そんな、最初会った時はもっと違かったはず、なのに…!
それとも……”力”を貫く事を、選んだの…?
[メイン3] 白虎 : 「だから私は戦うッッッ!!!!………お前だって、そうだろッッ!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「"ハンター"になりたいんだろッッッ!?!?」
[メイン3] 環うい : ……その、”意志”は……私には…到底持ち合わせられないっ…
[メイン3]
環うい :
「が、はッ…」
”念”で押さえつけられて、身動きが取れずに。
[メイン3]
白虎 :
「──────────私だって、なりたいんだよォオオッッッ!!!!!」
そうして─────ういの顔面に、白虎の、硬く握りしめた拳が落とされんとし─────。
[メイン3] 環うい : 「……私だって、そうだよ!……白虎ちゃんだって…ッ」
[メイン3] 環うい : 「────そんな”怪我”してまで、なりたかったんでしょ…!!!」
[メイン3] 環うい : その拳には────
[メイン3] 環うい : ────防御せず。
[メイン3] 環うい : ただしたことは、その虎の目を見つめ返す事。
[メイン3] 白虎 : 「…………ッッッ……!!!」
[メイン3] 白虎 : ういの目と鼻の先で
[メイン3] 白虎 : 拳が、止まる。
[メイン3] 白虎 : 「な………なんだ……!!……お前……その……目ッ………!!!」
[メイン3] 白虎 : 防御行動を一切取らず
[メイン3] 白虎 : 自身に向けて叫ぶ少女に
[メイン3] 白虎 : 白虎の心に揺らめきを作り出す。
[メイン3]
環うい :
……白虎ちゃんは…凄い…
ここまでぼろぼろになっても、諦めずに…こんなに…頑張るんだもん…
[メイン3] 白虎 : 迷い、という名の、動揺。
[メイン3]
環うい :
「けほ、っ…」
小さく、血をせき込み。
[メイン3] 白虎 : 「………じゃあ……じゃあッ!!!」
[メイン3] 環うい : その迷いを見つめるように、じっと目を見つめて。
[メイン3] 白虎 : 「ういッッッ!!!!」
[メイン3] 白虎 : 「なんで!!!反撃しないんだよッッッ!!!!!」
[メイン3] 白虎 : 同い年程度の少女。
[メイン3] 環うい : 「……わたし、わがままなのは…わかってる」
[メイン3] 白虎 : 力に関しては、私の方が勝ってる、絶対にそう言い切れるはず。
[メイン3] 白虎 : なのに。
[メイン3] 白虎 : ─────打ち込めないッッ……!!!
[メイン3] 白虎 : ういの瞳を、真っ直ぐ見つめる。
[メイン3] 環うい : 「……でも、もう…戦って、”わたし”が殺されたら……」
[メイン3] 環うい : 「……白虎ちゃんが、きっと…傷ついちゃう…」
[メイン3] 白虎 : 「………え……?」
[メイン3] 白虎 : 「……私、が………?」
[メイン3] 白虎 : どういう、こと、だ……?……ういは……こいつは……一体、何を、言ってるんだ……?
[メイン3] 白虎 : 白虎の心中は、困惑という不安に包まれていく。
[メイン3] 環うい : 「うん、だって────」
[メイン3]
環うい :
ふわり、と…自らから”念”を作り出し。
一つの凧を生み出して。
[メイン3] 環うい : 「────こんなに、血まみれで傷ついてる」
[メイン3] 環うい : ぎゅっと。
[メイン3] 白虎 : 「っ………!?」
[メイン3] 環うい : 凧と、ういの小さな体で包み込むように。
[メイン3] 環うい : 凧が生み出すのは────『頒布』
[メイン3] 環うい : 自らのオーラを、彼女の体へと受け渡していく。
[メイン3] 白虎 : 「こ、これ………え……?」
[メイン3] 環うい : 「……ちょっと、くすぐったいかもだけど…えへへ」
[メイン3] 環うい : 顔や手が、赤で塗られたまま。
[メイン3] 環うい : 「……わたしのオーラを、あなたに…あげてるの」
[メイン3] 白虎 : 「……なん、で……」
[メイン3] 白虎 : そうして、ういに振り下ろそうした拳をどけ、その手を見つめる。
[メイン3] 白虎 : 体中に蓄積された傷、疲労が、徐々に、徐々に、薄くなっていく。
[メイン3] 白虎 : 「………お、おい……わけ、わかんないし……!!これ……!!!」
[メイン3] 白虎 : 「なんで……!?……私達……『敵』同士、だろッ……!?」
[メイン3] 環うい : 「……わたしなんかの力で、誰か助けられたら……素敵だもん」
[メイン3] 環うい : 「…それとも、嫌…だったかな?」
[メイン3] 白虎 : 「っ……!?」
[メイン3] 白虎 : その問いに、白虎は。
[メイン3] 白虎 : わなわなと、震え出す。
[メイン3] 環うい : 少し、残念そうな顔をして。
[メイン3] 白虎 : ─────私は、自分に価値が無くなることを恐れて……だから、暴走してた。
[メイン3] 白虎 : それなつまり……誰からも、見てもらえなくなる。
[メイン3] 白虎 : 必要と、されなくなる。
[メイン3] 白虎 : ─────『孤独』。
[メイン3] 白虎 : 『子ども』が、最も恐れる感情。
[メイン3] 白虎 : ういの頬に、ぽた、ぽた、と液滴が垂れ落ちる。
[メイン3] 白虎 : それは、血液ではなく……。
[メイン3] 白虎 : 「ぅ……ううぅっ……!!……ぐずっ……!!!なん、でっ………!!!」
[メイン3]
環うい :
「あ……」
感じる、水滴、その声に……ぞくり。
[メイン3] 白虎 : 涙腺が決壊し、ボロボロとその真ん丸な瞳から溢れ始めた、白虎の悔しさに溢れた涙であった。
[メイン3] 白虎 : 「ぞんなの……ぞんなのっ………!!!」
[メイン3] 環うい : 『自らの味わったもの』を、感じたような気がしたから。
[メイン3] 白虎 : 「………嫌じゃ………無い、しっ……!!」
[メイン3] 環うい : 「……えへへへ……」
[メイン3] 白虎 : 「……なんで……なんで、こんなこと、するんだよ………!?……なぁ……!……なぁ……!?」
[メイン3]
環うい :
「わたしも、嫌じゃないよ…」
にこっ、笑いながらそう返して。
[メイン3] 白虎 : 「納得、いかない……!!!」
[メイン3] 白虎 : 「だって、殺されるかも、しれないんだぞ………!?!?」
[メイン3] 環うい : その問いに、口が……止まる。
[メイン3]
環うい :
何度か口が開き、閉まり。
そうして閉じた口は、ゆっくりと開いて。
[メイン3] 環うい : 「……わたしね、お姉ちゃんがいるの」
[メイン3] 白虎 : 「……お姉ちゃん………?」
[メイン3] 環うい : うん、と頷き。
[メイン3] 環うい : 「すっごくいい人で、誰も彼も助けて……皆の憧れになるような、そんなすごい”ハンター”『だった』のにね」
[メイン3] 環うい : 「……でも、今は意識が戻らないの」
[メイン3] 環うい : 「────『わたし』が、”念”を暴走させて、お姉ちゃんにぶつけちゃったから」
[メイン3] 白虎 : 「っ………!!」
[メイン3] 白虎 : 「……じゃあ……じゃあ、ういがハンターになろうって、思ってるのは……」
[メイン3]
環うい :
そう呟く、ういの顔は。
悲しげで、けれど叱られる直前の子どものように。
[メイン3] 白虎 : 「罪滅ぼし、なのかよ……?」
[メイン3] 環うい : 「……うん」
[メイン3] 白虎 : 「そんなの、勝手じゃん……!!」
[メイン3] 白虎 : 「弱いやつが、悪いんじゃん!!!」
[メイン3] 白虎 : 「なんで、ういがそこまでしなくちゃいけないんだよ……!?」
[メイン3] 白虎 : 「ういは、だって……だって……!!!」
[メイン3] 白虎 : 「─────戦うの……嫌いなんだろ……!?」
[メイン3] 環うい : 「戦うのだって、嫌だよ……ずっと、嫌」
[メイン3]
環うい :
「でもね」
目を向いて、じっと。
[メイン3] 環うい : 「あなたみたいな…わたしと一緒の子が、こんな傷つけられてるのも、嫌なの」
[メイン3] 白虎 : 「っ………」
[メイン3] 白虎 : 眩しい。
[メイン3] 白虎 : あまりにも眩しい。
[メイン3]
白虎 :
この子は、力ではこの私に及ばない。今からだって、その命を奪おうと思えば奪える。
でも─────。
[メイン3] 白虎 : 『できない』。
[メイン3] 白虎 : だって
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 : ─────私よりも、『強い』から。
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 環うい : その拳が振るわれていないことに、えへへと笑って。
[メイン3] 環うい : 「……それに、ね。白虎ちゃんだって…」
[メイン3] 環うい : 「わたしと、同じなんだよ」
[メイン3] 白虎 : 「同じ……?私が……?……ういと……?ど、どこが、だよ……?」
[メイン3] 白虎 : 「性格だって……力だって……どこも、何も、似てないし……!」
[メイン3] 環うい : 「……そういう所は、真反対かも…だけど、ね」
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい : 「わがままをぶつけちゃう子ども同士、一緒なんだよ」
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい :
[メイン3] 環うい : 「だから……白虎ちゃんも、すっごく…」
[メイン3] 環うい : 「『強かった』よ」
[メイン3] 環うい : にこ、と笑って。
[メイン3] 白虎 : 「わが、まま……それに、私も……強かっ、た……?」
[メイン3] 白虎 : その言葉に
[メイン3] 白虎 : 頬が、緩んでしまう。
[メイン3] 白虎 : 涙をぼろぼろとこぼしながら。
[メイン3] 白虎 : 「…………へへ……えへへへ……そう、かな……?」
[メイン3] 環うい : 「うん、あんなに力強く振って…わたしにはできない位で、凄かったもん!」
[メイン3] 環うい : 「すっごく、頑張ってた…だって、プレートも…もう一つ、なんでしょ?」
[メイン3] 白虎 : 「………う、ん……」
[メイン3] 白虎 : そう言い、プレートを取り出す。
[メイン3] 環うい : よしよし、頭をゆっくりと撫でながら。
[メイン3] 白虎 : 「……あと、もう1枚で……私は……合格、でき…… ぅうぅっ!?」
[メイン3] 白虎 : 「な、なんで撫でるんだよぉ!?こ、子ども扱いするなぁ~~!!」
[メイン3] 環うい : 「えへへへ~、なんだか、私が”お姉ちゃん”みたいだなぁって思っちゃって」
[メイン3] 白虎 : 「んなぁっ!?」
[メイン3] 白虎 : 「う、うい!!お前、いくつだよ!」
[メイン3] 環うい : 「あ、っ…私?」
[メイン3] 環うい : 「11歳だけど……白虎ちゃんは…どうなの?」
[メイン3] 白虎 : 「え」
[メイン3] 白虎 : 「…………」
[メイン3] 環うい : ……同じくらいだと思ってたけど、どうなんだろう?
[メイン3] 白虎 : 「……12」
[メイン3] 白虎 : 「……うがぁあああ~~~~っ!!!白虎様の方が!!年上!!なんだぞ~~~!!!」
[メイン3] 環うい : 「……えっ」
[メイン3] 白虎 : 「……ぷっ……あはははは~~!!!」
[メイン3] 環うい : 「わ、わわぁ!?そ、そうかもね…!?じゃ、じゃあ白虎ちゃんがお姉ちゃんで……あう」
[メイン3]
白虎 :
少女は、猛り狂った猛獣の虎の顔から
無邪気な子どものような顔に変わっており。
[メイン3] 白虎 : 楽しそうに、けらけらと笑っていた。
[メイン3] 環うい : その笑いに、なんだか釣られて笑ってしまう。
[メイン3] 環うい : そんな、『無邪気な子どもの笑顔』に。
[メイン3] 白虎 : 「……あ~~~おっかし!!ムカムカしてた私がバカみたいだったぞ!!」
[メイン3] 環うい : 「ふ、ふふっ……あははは……ごめんね、年下で」
[メイン3] 白虎 : 「………ん、別に、いい! ………あと、うい」
[メイン3] 環うい : むしろなんだか、コロコロと顔が変わるその姿も…いいな、と思ってしまう。
[メイン3] 環うい : 「……ほえ、なぁに?」
[メイン3] 白虎 : 「………さっきは、その、あれだ……」
[メイン3] 白虎 : 指同士をつんつんしながら。
[メイン3] 白虎 : 「………ごめん……」
[メイン3] 環うい : 首をかしげて、その後。
[メイン3] 環うい : 「……ううん、いいの!」
[メイン3] 環うい : 「白虎ちゃんだって、止めてくれた…」
[メイン3] 環うい : 「だから、許します!お姉ちゃんだもん!」
[メイン3] 環うい : ふふん、とちょっと自慢げに。
[メイン3] 白虎 : 「んなっ!?!?」
[メイン3] 白虎 : 「だぁ~~かぁ~~~らぁあ~~~!!!私は!!12!!!ういは!!11!!!」
[メイン3] 白虎 : 「私の方がお姉ちゃんだぁあああ~~~~~~~~!!!」
[メイン3] 白虎 : 虎の悲しい声が、森の中へと響いていった。
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 : ……なんだか、不思議な気分だ。
[メイン3] 白虎 : こんな経験、今まで無かった。
[メイン3] 白虎 : 私は、戦うことしでしか、出会いが無かった。
[メイン3] 白虎 : ……ふふ、ふふふ。
[メイン3] 白虎 : なんだか、こういうのも、悪くないかも……だな……!!
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 : こうして、虎の子は。
[メイン3] 白虎 : とある少女の、それはそれは優しい『魔法』により
[メイン3]
白虎 :
ツナガリ
『環』を、覚えたのでした。
[メイン3] 白虎 : ……『傭兵』は、主に尽くすのが使命。
[メイン3] 白虎 : 今日だけは……お前が主になっても、いいかもなっ!
[メイン3] 白虎 : でもお姉ちゃんは!私だけどな!
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :
[メイン3] 白虎 :